坐骨神経痛とは、腰椎の下部(仙骨の上部)に始まり、大腿後面を走り、下腿まで伸びる長い太い神経である坐骨神経の走行部位に沿って疼痛が放散する疾患である。坐骨神経の支配領域に沿って、腰部、臀部、大腿、ふくらはぎなど広範囲に痛みが放散するほか、下腿のしびれ、ふらはぎの痙攣などをともなうこともある。特に咳やくしゃみをしたとき、歩くときに痛みがはしり、ひどい場合は安静にしていても痛みを感じる。 骨や靭帯の異常によって坐骨神経が圧迫を受けたり、脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニヤなどが原因となって起こる場合もある。また、梨状筋やハムストリングスによる圧迫にともない、痛みが起こるケースもある。その他に悪性腫瘍、腰椎の腫瘍、感染症による神経の圧迫によって起こることもある。 坐骨神経痛の原因の7〜8割位は脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニヤであるが、小・中殿筋や梨状筋のトリガーポイントに由来する坐骨神経痛の診断と施術が重要である。(図8・9) 中殿筋は寛骨の外側にあり、これと腸骨稜を隔てて腰方形筋筋膜線維がよく似た走行をしていて、まるまる全体が硬結化するという特徴を持っている。腰方形筋と中殿筋とは筋線維の連結はないとされているが、運動学的には関係が深い。小・中殿筋トリガーポイントから派生する痛みは、一般に腰方形筋トリガーポイントから放散する痛みと組み合わさって腰痛プラス坐骨神経痛という形をとる。(図4・8・9)この形は腰椎椎間板ヘルニヤによる坐骨神経痛と間違えやすい。
MRI検査で脊柱管や椎間板に異常のない坐骨神経痛の場合、整形外科ではほとんどは飲み薬と湿布等で経過観察になることが多い。民間療法の先生方は、骨盤矯正・脊柱矯正・臀部から下肢のマッサージ・電気・キネシオテーピング等を施しますが、なかなか施術効果が上がらないのが実情です。また、殿部のトリガーポイントから坐骨神経痛だと解かっていても、即効性のある施術方法が解からない先生が多いのです。ですから、坐骨神経痛はなかなか治らないものだと施術者も患者さんも思っているのです。
●小・中殿筋や梨状筋のトリガーポイントによる坐骨神経痛の施術 小・中殿筋や梨状筋は大殿筋の下部にある深部筋である為、指圧・マッサージ等で深部にある筋硬結部を弛緩させることは困難で、ストレッチング・PNFストレッチングでも弛緩させることは難しい。 PNFストレッチイングとスーパーマッサージ(ヒットマッサージ)のバイブレーションをかける筋スラッギング療法が即効性のある施術効果を期待することができます。 [手技方法] 患者さんをベットで側臥位にさせ、健側の足を屈曲させ体幹を安定させる。次いで、患側は膝屈曲位にて股関節を45°屈曲・外旋させた状態で更に外旋するように指示する。その間術者は大腿部を抑えながら小・中殿筋のトリガーポイントに5秒間バイブレーションをかけ、急激に脱力させる。